江戸川区迷惑防止条例に反対

「江戸川区公共の場所における迷惑行為の防止に関する条例」が第四回定例議会本会議で決まりました。総務委員会でも問題点を指摘しましたが、日本共産党区議団と生活者ネットの反対7名で、成立しました。反対意見は以下の通りです。注意する人の主観で迷惑行為が判断される恐れがあり人権侵害につながることはないのか、区の共生社会の取り組みと矛盾すること、西葛西駅前を見ると具体的な施策が安全安心のまちづくりにならない可能性があること、区民の責務を明記しながらパブリックコメントの期間が2週間と少ないことなどを反対理由として述べました。以下、日本共産党区議団の反対意見を掲載します。

「江戸川区公共の場所における迷惑行為の防止に関する条例」について、区民から迷惑な行為をなんとかしてほしいという声があるのも理解できますが、区議団として慎重に検討した結果、以下の4点を理由として反対という結論に至ったことを、はじめに述べさせていただきます。

第1の反対理由は、この条例は、公共の場所をだれもが安心して利用できるよう、モラル及びマナーの向上を図り、快適な環境を維持しさらに向上させるために提案したとのことですが、あらたに条例を作る必要はありません。

条例策定のきっかけは、西葛西駅などの駅頭で一部の方が迷惑行為を続けているとの区民からの苦情だと説明されました。区長への手紙やメールだけでも昨年度17件、今年度11月20日現在で7件、苦情が寄せられたが被害届については警察には聞いていないとのことです。日常的なパトロールの中で実態をつかみ迷惑の場合は声をかけてきたともお聞きしました。このように、モラルやマナーの向上をよびかけていくということは必要なことと考えますが、区が独自に条例を制定してまで行う必要があるか、すでにある道路交通法、東京都迷惑防止条例、江戸川区立公園条例や江戸川区自転車等の駐車秩序に関する条例などで対応できると考えます。今回の迷惑防止条例案のような内容は、都道府県の条例はあるものの、区市町村ではあまりないと聞いています。

ともに生きる、誰一人取り残さない江戸川区を作るためには、一人一人に寄り添う区の姿勢が求められます。今後、西葛西駅前などから苦情があれば、条例がなくても、今までのように職員などが臨機応変に丁寧に働きかけていくことで、公共の場所を安心して利用でき、モラル及びマナーの向上につながると考えます。

第2の反対理由は、条例第8条2項でしめされた「迷惑行為」はだれが判断し、だれが中止を求めるかあいまいだということです。行き過ぎた判断があれば、区民の権利侵害につながる恐れがあります。

「迷惑行為」として、第8条で「迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動」「多数でうろつき、たむろする等集団で利用者を威圧する言動」「交通の支障又は公共の場所の利用の妨害になるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、ふらつき、又は立ち止まっていること」「地球環境の悪化につながるものを投棄すること」を例示しています。区の説明によれば、条例にある迷惑行為があった場合には、社会通念に照らして区長が判断し、区長の命を受けた職員が、警察とも連携し、環境をよくするパトロールなどでよびかけ、注意し、指導するとしています。客観基準が社会通念に照らして迷惑行為にあたるかどうかというのでは、判断基準にパトロールする人の主観が入るのではないかということが危惧されます。

 

第3の反対理由は、第7条の推進施策の項目です。タバコのポイ捨て条例にはこの項目はありません。迷惑行為防止のために、パトロールなどを示していますが、4項に、「施設の整備及び修繕その他の公共の場所の安全で快適な環境の保全及び向上を図るために必要な施策」とあります。すでに、西葛西駅前の花壇のそばには突起物をつけたりプランターを置いたりしています(写真)。公園ではベンチで横にならないように木の突起物をつけたり、小岩駅でも駅前ベンチが取り除かれたりしています。これが、快適な環境の保全及び向上の施策、区民がゆったりすごせる環境といえるでしょうか。

第4の反対理由は、区民の意見を聞き取ることが不十分だということです。第3回定例会の4条例のパブリックコメントは、4条例あわせて28名69件でした。新たな条例については、パブコメをとって区民からの意見を聞く姿勢を取っていても、2週間という短期間でもあり、意見は少数しかよせられませんでした。第4回定例会の多文化共生のまち推進条例は4名4件、この迷惑防止条例は5名5件。第4条で区民等の責務が明記されているにもかかわらず、パブコメは5件だけしかありませんでした。区民の責務や協力を求めるならば、事前に条例案を周知し、多様な意見を聞く場を保障するべきです。区民意見の聴取のあり方については日本共産党区議団は本会議の一般質問でも取り上げ、最低でも1か月の募集期間にするべきと提案してきました。それがいかされなかったことは大変残念なことです。区民の声をどう聞き取るかは民主主義の基本と考えます。

以上で日本共産党の反対討論とします。