映画「島守の塔」

「島守の塔」を見てきました。今年の夏休みは映画を2つみられてよかったです。「島守の塔」のことは知りませんでした。まず、沖縄戦のことを映画にしたことに感謝です。77年前の沖縄が映像を通してリアルによみがえりました。戦争の悲惨さ、軍や権力の非情さ、沖縄戦が住民犠牲であったことなどが画面から伝わります。

新婦人しんぶん7月30日号の映画紹介は、「県民の4人に一人が犠牲となった太平洋戦争末期の沖縄戦。戦中最後の沖縄県知事として赴任した島田叡(萩原聖人)と、警察部長の荒井退造(村上淳)、県職員の比嘉凛(吉岡里穂)を中心に、軍の圧力に屈しながらも、米軍と日本軍から県民の命を守り抜こうとした島田と荒井、戦火に翻弄されながら必死に生きる人々の姿を描きだす」としています。

後半の沖縄戦のシーンは涙なしには見られませんでした。はじめの場面で、知事と警察部長の2人の出会いの時、野球のキャプテンとチームワークの言葉を使ったときに、敵性言語だなといいつつ、正岡子規の野球に関わる引用は心に残りました。アメリカ側の実写記録フィルムを使って、当時のアメリカ軍を表現したのは驚きです。米軍の沖縄上陸の様子はアメリカの記録と思われます。

知事と行動を共にする女性職員が「神風が吹いて日本は勝利する。捕虜になって辱めを受けるなら自決する」と繰り返し妹たちや友人たちに鼓舞する場面、中等学校の生徒が「鉄血勤皇隊」や看護婦として動員された実態、軍国主義教育の怖さが描かれます。子どもたちが戦争が終わったら勉強したいというのも悲しさが倍増です。

県職員たちの命を守るために奔走する姿、島田県知事が台湾にお米を調達してきた場面、最後まで生きることを大事にした知事の姿が心に響きます。軍隊が沖縄の言葉で会話するものはスパイとして銃殺する場面、反対に、県知事への感謝をこめて琉球舞踊を踊る場面、本当にあったかもしれないと思いながらみました。戦争の非合理性の告発、必死に生きていく人々に向き合う映画です。ウチナンチューの言葉は字幕がつけられました。集団自決の場面がなかったのは、なにか配慮されたのでしょうか。

今でも沖縄は日本全体の7割の米軍基地があり、米軍由来のコロナ感染症、辺野古新基地建設と、沖縄県民が強いられていることはたくさんあります。9月の沖縄県知事選挙で辺野古基地建設反対を掲げる玉木デニー知事の再選を勝ち取りたいです。米軍基地も軍隊もない沖縄と日本にしていきたい、軍備増強などとんでもないです。