区の災害対策、なぜタワーマンション税金投入か?

江戸川区がハザードマップを発表した時に、「ここにいてはダメです」というよびかけに、マスコミでも大きく取り上げられました。8月28日の都政・区政報告会で、区民から災害対策とタワーマンション税金投入についての質問があり、区の担当者から聞き取りしたことを掲載します。

Q:広域避難で対応するしかないというのでは、行政の「不作為」ではないか。災害にあわないようにするにはどうしたらいいのか。

A:陸域の約7割がゼロメートル地帯の江戸川区は、洪水の場合、水が二週間はひかないため「籠城」は厳しいと判断し、広域避難を呼びかけている。三日前からの避難を呼びかけていることから、1日3000円三日分のホテル代の補助を行う。広域避難先は、東京都も確保を努力している。青少年オリンピックセンターが避難所に指定された。都立紅葉側高校の校庭は庁舎や緊急対応自動車の避難場所として、防災協定をむすんだ。平井の地区にも避難受け入れマンションの協定を結んだ。地震対策はまちづくりでもあり、耐震化率97%で、23区一位になっている。

Q:堤防の補強、水門の補修について①旧江戸川と新中川堤防の高さで津波・高潮が防げるか②水門は確実に閉門できるか③下水処理場の防災対策は万全か④スーパー堤防を急ぐのはなぜか。中川と荒川の中堤のコンクリート工事の根拠は何か⑤江東区側の荒川堤防大規模改修があったが、江戸川区側は経年劣化しているように見える。旧江戸川、新中川沿いの堤防はどうか。

A:①高潮最高5.1m、津波最高3.74mという都の想定をクリアする堤防の高さは確保してある。②すべての水門は、電源が喪失した場合手動で対応する。手動で閉門レバーを操作すれば、水門は自らの重みで閉まる構造になっている。水門を上げるときは電力が必要。また、新川水門は2か所ともすでに閉鎖、新左近川、平井ロックゲートは利用時以外は閉鎖している。篠崎の閘門は塩水が江戸川を逆流しないように仕切るために使っている。③臨海町下水処理場は築堤の上にある構造で浸水を想定していない、耐震工事は現在進行中。④スーパー堤防は、急ぐというより地域と合意がされたところでやっている。荒川・中川の中堤工事は国が行った。高潮が船堀橋周辺まで遡上すると想定され、中川と荒川の流す流量が違い、河川の役目が違うことから、荒川の水が中川に流れ込まないように、河川計画で決まっている流量が果たせるように工事をした。⑤江東区は土堤で江戸川区はコンクリートで覆っていて作り方が違うが、強度は同じになっている。また、江東区側と比べると江戸川区側は低い。都心を守るということが今でも継続されている。1メートル違うが必要な高さはある。荒川と中川は国が管理している。江戸川区側の堤防、旧江戸川、新中川の堤防は、地震で液状化して堤防が落ちて低くならないように、堤防の下部を改修している。荒川・中川は終わった。旧江戸川と新中川は今も工事を継続している。

Q:タワーマンション建設に莫大な税金投入について、昨年9月18日の朝日新聞で、小岩駅北口再開発とタワーマンション建設が進行中で、税金依存率が58%とだされた。区の担当者に聞くと「共用廊下や駐車場、駐輪場、エレベーターなどにあてる」といっているが、普通のマンションでは考えられないこと。デベロッパーのコストが軽減されているがどうか。

A:小岩駅北口再開発は、共有部分だけではなく、駅前広場取得、地下駐輪場建設も含めた税金投入です。また、再開発という仕組みは、戸建て住宅に住んでいた場合には必要がない共有部分やエレベーターなどの費用に税金を投入する仕組み。費用は、国が三分の一、区が三分の一、個人が三分の一を負担するが、個人は等価で対応するため持ち出しにならない。

大橋:再開発は民間デベロッパーが大きな役割を果たしているのは事実です。民間デベロッパーに利益が還元される可能性はありますが、残念ながら実態はつかめません。日本共産党は、地権者の権利を守ること、とりわけ借家に住む人が追い出されるような再開発には反対しています。小岩北口再開発ビルは一部地権者は加わらずすすめられています。地権者がタワーマンション建設を希望して行うという形が整うと、共有部分を税金投入というのは反対しきれないです。都内で地権者が再開発に反対し、再開発に歯止めをかけている地域があります。こういう取り組みが区内でもあればしっかり連携していきますが、いまのところありません。区議団は、区画整理・再開発対策全国連絡会議に参加し学習しながら税金の無駄遣いに歯止めがかけられるようにこれからもとりくんでいきます。

区画整理・再開発対策全国連絡会議 〒162-8512 新宿区矢来町123矢来ビル4階 03-5261-4031 会費年8400円

Q:都営住宅に毎回落選している。低家賃の公共住宅を大規模に促進すべき。古いマンションのスラム化問題も深刻、こうしたことに公金を投入すべき

大橋:全くその通りです。多くの区民から同様の要望が出され、区議団も都議団と連携して増設を求めて取り組んでいます。石原都政時代から20年以上新規の都営住宅建設はないというのもひどい話です。区営住宅もありますが戸数が少なく、一人暮らしや高齢者対応の区営住宅はありません。区営住宅の増設や民間高齢者住宅(区から家賃補助がでる)の増設ができるよう働きかけていきます。