IKEBASU運行は?
豊島区のIKEBASU、その成り立ちや現行の運行状況などを聞くために豊島区役所を訪問しました。江戸川区議会の防災対策まちづくり特別委員会の視察です。事前にネットで概略を見ていきましたが、交通政策担当課長さんから、予算措置も含め、実態を詳しく伺うことができました。
IKEBASUの運行のきっかけは、平成26年5月8日の日本創生会議による「消滅可能都市」の発表。今でも私も覚えていますが、23区で唯一「消滅」とされたのは出産可能年齢の女性の人口が少ないことが原因といわれたのではないでしょうか。そこから、女性に優しいまち、高齢化への対応などこれからの豊島区のまちづくりとして、新庁舎移転で、マンション一体型の新庁舎を建設しました。この新庁舎に5年くらい前に視察に行きましたが、建築専門家からは、建て替えの時に民間の地権者とのおりあいができるか、大変なことになると指摘がされました。写真は、区役所前のIKEBASUのバス停です。2コースあり、30分間隔の運行。時速は19キロ。ゆったりと街の雰囲気を味わっていただくというのが「ゆっくり」の理由です。
さて、2019年11月から運航開始されたものの、コロナで減便を余儀なくされ、やっと復活したものの、車両改修や運転手不足で再び減便という状況です。乗り合いだけでなく貸し切りバスとしても運行しており、地域のコミュニティバスではなく、区としては観光資源として位置付けていることがわかりました。バスそのものも魅力的なデザインで特注し、1台3000万円、赤が9台、黄色が1台という仕様です。初期投資が約3億円、毎年の赤字補填が約1億3~4千万円とのこと。思い切った施策をしていますが、区としては、取材の申し込みや記念写真の希望も多く、5年間で8億くらいの広告換算費用を担っていると分析しています。バスも区内全域ではなく、池袋駅周辺、主な公園をまわるルートで、地元の人の意見も聞きながらすすめているとのことでした。
江戸川区は西小岩~本一色の巡回モデルケースで実証実験をしましたが、今は中止です。採算が取れないことが最も大きな要因。江戸川区も行政からの補助金を投入してのコミュニティバス運行に踏み切らないと実行はできないように思います。区民生活の利便性を高めるために区の出番です。